「相続税対策」に関するお役立ち情報
遺産分割が10か月以内にまとまらない場合の相続税対策
1 相続税申告と納税の期限
相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
例えば、1月5日に被相続人が亡くなった場合、その年の10月5日が申告期限となります。
ただし、申告期限が土日祝日で、税務署が開庁していない場合は、これらの日の翌日が申告期限となります。
被相続人が亡くなった日ではなく、亡くなったことを知った日が基準であり、必ずしも亡くなった日と一致するわけではありませんので注意が必要です。
また、申告だけでなく、相続税の納付も申告期限までに行う必要があります。
つまり、遺産分割により、財産を取得することが決まったら、この期限までに相続税の申告と納税の両方を行わなければなりません。
なお、相続税の申告書を提出する税務署は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署であって、財産を取得した人の住所地を管轄する税務署ではないため、その点にも注意が必要です。
2 遺産分割が10か月以内にまとまらない場合のデメリット
相続人は、自分が取得した相続財産に応じて相続税の申告と納付をすることとなりますが、10か月という期限内に遺産分割がまとまるとは限りません。
では万が一、10か月以内に遺産分割協議がまとまらない場合には、相続税に関してどのようなデメリットがあるのでしょうか。
例えば、配偶者の税額軽減の特例については、配偶者が取得する財産が確定していないため、適用を受けることができません。
また、小規模宅地の特例の適用を受けることのできる可能性のある土地についても、誰が取得するか確定しない状態では、そもそも特例の適用を受けるのは困難です。
10か月以内に遺産分割がまとまらない場合でも、相続人はいったん法定相続分で相続したという内容で申告書を作成し、申告と納付を行う必要があります。
この場合には、上記のような特例の適用を受けることができないため、適用を受けることができた場合に比べ、多額の相続税を納付しなければならなくなります。
参考リンク:国税庁・相続財産が分割されていないときの申告
3 遺産分割が10か月以内にまとまらなかった場合の相続税対策
上記のように多額の相続税をいったん納めたとしても、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書と一緒に提出することにより、遺産分割協議の終了後、税額軽減の特例の適用を受けたことを前提に相続税の申告書を作成し直し、税務署に納めすぎた相続税の還付を求めることができる可能性があります。
つまり、当初の申告・納付時に適用を受けられなかった特例や控除については、このタイミングで受けられるといえます。
また、申告期限後3年以内に遺産分割がまとまらなかった場合には、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出する必要があります。
これらの書類の提出を忘れると、特例の適用を受けることは一切できなくなりますので、ご注意ください。
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